二年前に母を亡くした、貴族の少女・リン。ある夜、不審な行動をとる父親を心配し、尾行をしていたところ――残酷な殺人事件の現場を見てしまう。謎の“異形の存在”に姿を見られ、追い詰められたリンは、いつの間にか奇妙な世界「リューゲンベルグ」に迷い込んでしまう。見知らぬ世界にひとり取り残されたリンは、わけもわからない状況の中、棺桶で眠る“伝説の吸血鬼”を見つけるのだった――。 異形の力をあやつる吸血鬼探偵、アルネ・ノインテーター。 吸血鬼を愛する名門貴族の娘、リン・ラインヴァイス。 決して交わらない世界に生きていたはずの二人が、 血塗られた謎を解くために手を結んだ。 闇夜に訪れた絶体絶命の危機に、リンがさまよい込んだのは、 異形の者たちが住む、謎の街・リューゲンベルグだった。 その街での“最凶”と呼ばれた吸血鬼アルネとの出逢いは、 少女の生きる世界を大きく変えていく―― そして今宵も、二人の前に新たな「殺人事件」が訪れる。 人間と怪異の二つの理が乱舞する世界で巻き起こる 奇々怪々な事件の裏に隠された真相とは? 「さあ、人間よ。赤い月の下、ユカイに踊るがいい」